オカルトっぽい話

僕が20歳をちょい過ぎた頃の話です。今から丁度30年くらい前の話です。その頃僕はフリーターで、朝からそれこそ次の朝までバイトばかりしていました。その時バイトしていた所が繁華街だったので、自然と人が集まり仲間ができていました。その中の一人でK君という人がいました。その人は僕より1つ2つ年上でした。本人は霊感が強く、周りにも隠さず公言していましたが、しつこくそれっぽいことは話さず、普段は普通の会話をしていましたし、いい人だったので周りはその人を避けたりはしていませんでした。僕もよくゲームの話などしていましたし、オカルト話も好きな方だったのでよくそんな話を聞いていました。ある時、K君とそんな話をしているとK君が「俺は予知夢をたまに見るんだよね」と言い出しました。僕は「へ~最近はどんな夢を見たの?」と聞くと「未来の夢。人類は滅びるんだ。」と言い出しました。僕は「え~!全滅するの?」と聞くと「いや。一部の人間は生き残るんだ。」といいました。僕は「どんな人が生き残るの?」と聞くとそれはね…と言って教えてくれましたが、条件が一言だけだったのですが漠然とし過ぎていて僕は「そうなんだ…」しか答えられませんでした。「何で滅びるの?」と聞くと「核爆弾とかそんな大げさな物じゃなくて、実はすごく何でもない物で滅びるんだ。」と言っていました。いつ滅びるのか聞くと大丈夫。まだまだ先だから。と言っていました。K君は普段聞いたことははっきりと答えてくれるのですが、ぼかして答える時ははっきりと答えられない(教えられない)、答えたくない時だとわかっているので、僕もそれ以上深く聞くことはしませんでした。これだけだとそんな妄想か少し頭がアレな人が言っていることをなんでまじめに聞いてるの?と普通は思われるでしょう。でも僕は彼の言っていたことを信じています。それには理由があります。僕は霊感がまったく無く、幽霊を見たこともありません。でも今まで生きてきた中で2回だけすごいラップ現象に遭遇したことがあります。もちろん音だけで何かが見えたとかは全くありません。その中の1回がK君といた時に起こりました。その日も夜0時過ぎに仕事が終わり、その日はK君がバイト先に遊びに来ていたので、彼としゃべりながら家路につきました。K君の家は僕と同じ方向でしたが、距離は僕の家より近かったのですが、その日はおしゃべりも盛り上がっていたので、彼は僕の家の方を回って帰ることになりました。僕の家に着いてそのままバイバイするのもなんなんで、家に少し上がってお茶でも飲んでいけばみたいな話をして、K君もじゃそうするという話になりました。その時点で午前3時前くらいだったと思います。その時の事は今でも鮮明に憶えています。天気は晴れで星空がきれいでした。季節は初夏、風はまったくの無風でした。当時僕の家は4LDKの2階建て一軒家で庭と駐車場つき、家族は両親と弟・妹がいて皆一緒に住んでいました。今では見ることはありませんが、昔ながらの家だったので窓にはすべて雨戸が付いていて、寝る時は雨戸を閉めて寝るという感じでした。周りは一軒家が10軒ぐらいある小さな住宅街でした。その時は時間が夜中だったので、寝静まって風もなくシーンとしていました。じゃあ家に入ろうとして玄関に近づいた時です。玄関の右手の方に庭があるのですが、その庭から複数の人が一斉にやっているようなバキバキと枝を折る音や、ガサガサ、ドンドンといった物をたたくような音、雨戸をガタガタ揺らすような音が聞こえてきました。僕はびっくりして音のする方を見たのですが、音がするだけで何かが揺れたりは全くしていませんでした。とにかく音だけがガンガンにしていました。庭に隣接している1階の部屋に両親が寝ているので、さすがに起きるだろうと思ったのですがその気配はありませんでした。K君の方を見ると、彼は驚いた様子もなく一言「やっぱり呼ばれてたか…」とつぶやきました。僕は呆然と立ち尽くしてただ音を聞き、音のする方を見ていました。音は5分くらい続いて鳴り止みました。鳴り止むとまたシーンとした静寂が訪れました。僕はK君にやっと一言「今のは…」と聞くことが出来ました。K君はにこやかに「ラップ現象だね~」と答えました。僕は何も言えず、早く家に入ろうと思い玄関の鍵を開けようとしました。すると鍵を開けようとしても空回りしてしまいます。あれ?と思い何回回しても空回りするのでそのままドアを開けてみました。すると普通にドアが開きました。ドアには鍵がかかっていませんでした。この家は僕が小学生の低学年の時に建てて住んでいたので、この時点で十数年住んでいるはずでした。両親、弟妹が一緒に住んでいるし、父親は公務員だったので結構厳格でした。なので夜寝る時は必ず鍵を掛けて寝ていました。僕だけ仕事でいつも夜中に帰ってくるので家の鍵を持っていました。後にも先にも家の玄関に鍵がかかっていなかったのはこの時だけです。K君の方を見るとまたにこやかに一言「呼ばれてるみたいだからね~」。ラップ現象も収まり玄関先で話すのも何なのでとりあえず家に上がってお茶でも飲んでいくことにしました。それからは何もなく、K君も僕の部屋でお茶など1敗飲んで帰りました。ラップ現象の話は殆どしませんでした。してもしょうがないしただ激しい音がしただけなので「さっきはすごかったね」ぐらいの感じでした。K君を送り出してすぐに寝ました。次の日に両親に昨日の夜中に激しい音がしなかったか聞いてみました。「昨日?全くしなかったけど…」という返事でした。やっぱりそういうことは実際に経験してみないと信じられないですよね。

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